これはメタ要素満載の仮面ライダーディケイドという作品を
できるだけメタ要素なしで解説したい人が書いた考察記事です。
故にこじつけや無理やりな部分もありますのでご注意ください。
そんな私が最終的に辿り着いたディケイドとは、
とても簡単な言葉で表すならば『全仮面ライダーの敵』
![【ディケイド】ディケイドとはなんだったのか 意訳混じり考察](/img/Under/2023/2301_decade02.jpg)
全仮面ライダーの敵
ディケイドはすべての仮面ライダーの敵である。
これは世界の破壊者と呼ばれている部分と、仮面ライダーという定義の問題です。
そもそも初代仮面ライダーというのは、
ショッカーに改造された人間(怪人)が正義の心でショッカーと戦う話です。
平成ライダーではこの点をより厳密に昇華し、
仮面ライダーの定義として『敵と同じ力を使って戦う戦士』という部分を大切にしています。
例えばグロンギと同じ力を扱うクウガや、アンデッドの力を解放しながら戦うブレイドなど。
※響鬼のみ元の企画の関係かちょっと曖昧
ではディケイドはどうなのか。
ディケイドとは『仮面ライダーの力を使って戦うもの』です。
つまり定義において、ディケイドとは敵(仮面ライダー)の力を使って戦うものであり、
逆説的にはすべての仮面ライダーの敵になるのです。
![【ディケイド】ディケイドとはなんだったのか 意訳混じり考察](/img/Under/2023/2301_decade03.jpg)
ディケイドの能力
他の仮面ライダーへと姿を変えるカメンライド能力を持つディケイド。
これはライダーカードに封じられている二次元データを現実世界に顕在化できるからですが、
そのライダーカードはどうやって作られているのか。
これは劇場版『仮面ライダーディケイド 完結編』にて、
倒した仮面ライダーをカードに封印できる描写がされています。
つまり本来のディケイドのカードを補充する方法は、正しく仮面ライダーを破壊する(倒す)ことだったのです。
しかしTVシリーズでは仮面ライダーを倒すことなくカードが再利用可能になっています。
何故か?
![【ディケイド】ディケイドとはなんだったのか 意訳混じり考察](/img/Under/2023/2301_decade04.jpg)
門矢士の能力
TVシリーズでは、士は記憶喪失の青年とだけ描写されています。
劇場版『オールライダー対大ショッカー』だと大首領に祭り上げられたりします。
全仮面ライダーを倒した時点で用済みとされていますけど。
では元々の門矢士が何だったかというと、個人的な予想込みですが
大ショッカーに拉致された特殊能力者だと思います。
なお特殊能力については特写写真集に確り書かれています。
「あらゆる並行世界を自由に行き来することができる青年」と。
そして超全集などに書かれていますが、ディケイド自身にも世界を渡る能力は備わっています。
加えてディケイドライバーは大首領のために用意されたベルトという設定もあります。
これらを統合すると、ディケイドライバーとは
士がもっている平行世界を移動する能力を誰でも使えるようにデバイス化したものとも考えられます。
この時点で、ライダーカードはディケイドを各ライダーに変身させるために集めたデータのみで構成されていたように考えられます。
つまり大ショッカーの集めたデータだけではカメライドは有限(使い切り)の能力なのです。
![【ディケイド】ディケイドとはなんだったのか 意訳混じり考察](/img/Under/2023/2301_decade05.jpg)
その後のディケイドライバー
※ここに書かれている内容はソースのない考察です。
さて、すべてのライダーを倒しに行けるデバイスは完成したし、
門矢士にも戦闘経験を積ませてライダーカードもある程度補充できた。
ではここから大進撃のはじまりだ!
と両手を上げたところで色々あってディケイドライバーを紛失しました。
門矢士も記憶を失って行方不明になりました。
ついでに一緒に開発していたディエンドライバーは盗まれました。
あれ、私達仮面ライダーを倒しに行けないのでは?
と大ショッカーは頭を抱えました。
仕方ないのでなにか他に仮面ライダーを倒す方法はないかと考えました。
そこで門矢士のもつ平行世界を行き来する能力の使い方に着目します。
ひょっとしてこれを使えば仮面ライダーを対消滅させられるのではないかと。
![【ディケイド】ディケイドとはなんだったのか 意訳混じり考察](/img/Under/2023/2301_decade06.jpg)
リ・イマジネーション ライダー
この世界には9人の仮面ライダーが存在する。
しかし9人の仮面ライダーを直接倒しに行くのは今の自分達にとってリスクが大きい。
では何らかの方法を持って仮面ライダーの存在そのものを消せないだろうか。
そんなどう見たって直接倒しに行く方が簡単ではないかと思われるような思考を巡らせた結果、
その9人の仮面ライダーとは別の可能性を持つ『9人の仮面ライダー』の平行世界を
『平行世界を行き来する能力の応用』で引き合わせぶつけることはできないだろうかと考えた。
その結果生まれたのがリ・イマジネーション ライダーであり、
つまりは元々存在する『仮面ライダー』を消滅させるために作られたモノである。
ただリ・イマジネーション ライダー達の世界が元から存在したのか、
何らかの手を加えて創造された世界なのかはそれぞれの想像に任されられるものなのかと思われます。
一応これも全て妄想になりますが、紅渡の台詞からするとそこまで間違ってないような気もします。
「9つの世界に9人の仮面ライダーが生まれました。
それは独立した別々の物語
しかし今、物語が融合し、そのために世界が一つになろうとしています。
やがてすべての世界が消滅します。」
![【ディケイド】ディケイドとはなんだったのか 意訳混じり考察](/img/Under/2023/2301_decade07.jpg)
ディケイドの目的
「ディケイド、あなたは9つの世界を旅しなければいけません。
それが世界を救うたった一つの方法です。」
「あなたはすべての仮面ライダーを破壊するものです。」
「あなたはすべての仮面ライダーを破壊しなければならなかった。」
ではディケイドが何をしなければならなかったのかといえば、
対仮面ライダー用に作られたディケイドの能力を持って、
仮面ライダーを消滅させる存在であるリ・イマジネーション ライダーを全滅させなければならなかったのです。
それが『仮面ライダーである紅渡達』にとっての最善の結果でした。
しかしディケイドの力を扱えるとは言え、
門矢士はすべてを忘れており『仮面ライダーを倒すという本来の目的』も失っています。
つまり門矢士にとって仮面ライダーは敵ではなく、そして味方でもなく、
しかし誰にも受け入れられない辛さを知っている自分としては
困ってる人がいるならば手を差し伸べない訳にはいかない。
それ故に士は各世界のライダーを救っていったのです。
その過程で各世界のライダーと信頼を結んだことにより、
士の能力によってすべての並行世界とバイパスのようなものができ、
士の持つライダーカードは平行世界と繋がり無限に利用できるようになったのだと思われます。
※ネガの世界ではバイパスが切れたか反転してしまったと思われる。
![【ディケイド】ディケイドとはなんだったのか 意訳混じり考察](/img/Under/2023/2301_decade08.jpg)
それ故の問題
しかしリ・イマジネーション ライダーを倒さなかったことで、
世界の崩壊を止められなかったのもまた事実。
故にすべてのライダーが消滅の危機に瀕することになります。
それを回避するためにリ・イマジネーション ライダー同士で戦いを始めてしまったのがTVシリーズの最後辺り。
紅渡達『仮面ライダー』にとっては『すべてのライダーを破壊する』役目を全うできなかったどころか、
リ・イマジネーション ライダーを繋ぎ止める中心地となってしまったディケイドを倒す必要が出てきました。
これによりライダー大戦が始まってしまいます。
つまりTV放映時のディケイドは世界を救うどころか、救おうとして『救えない方法』を実践してしまったということです。
※ここに書かれている内容はソースのない考察です。
完結編ではすべてのライダーに追われる内にやさぐれて激情態になっていたわけですが、
個人的にはあれが無意識の内に良い方向に転んだのだと解釈しています。
世界の崩壊を止める方法はリ・イマジネーション ライダーを倒し、ライダー同士の対消滅を阻止することでした。
逆に言えば『仮面ライダー』の方を倒したとしても世界の崩壊は止められるのです。
そして(片方の)『ライダー』をすべて倒したことによりライダーが対消滅する危険は一旦阻止されたわけです。
これはTVシリーズで消滅したブレイドや響鬼を含め、どちらか一方だけが残れば良いという解釈になります。
つまり9人の仮面ライダーは全員どちらか一方しか存在しない状態になったのです。
その後ディケイドがキバーラに倒されたことによって、
ディケイドによって対消滅の対象から外れた状態の『仮面ライダーの世界』が解放されます。
故に『仮面ライダー』は世界の崩壊を止めるためにリ・イマジネーション ライダーを倒す必要はなくなりました。
世界が一つになろうとする『原因』を取り除いたことで危険がなくなったのですから。
というのがメタ要素を加味しなければどうあがいても説明できない
完結編のこのセリフに対する自分なりの回答です。
「ライダーの物語は時とともに消滅する運命でした。
しかしディケイドと戦うことで人々の記憶にとどまり
再び物語を紡ぐことができました。
創造は破壊からしか生まれなかった。
そして破壊から生まれたライダーの物語は永遠となったのです。」
![【ディケイド】ディケイドとはなんだったのか 意訳混じり考察](/img/Under/2023/2301_decade10.jpg)
ディケイドに物語はありません
では紅渡の「ディケイドに物語はありません」とはどういう意味だったのか。
ここまで書いてきた考察の内容をまとめると、
自分は少なくともTVシリーズのディケイドは『仮面ライダーではなかった』と思っています。
なぜならディケイドはすべての仮面ライダーの敵、言わばただの仮面ライダーっぽい怪人だったからです。
これについては仮面ライダーという用語が高頻度で出てくる作品において、
ディケイドを知る人物達がディケイド『を』仮面ライダーだと呼称してないことが当てはまります。
ディケイドを仮面ライダーだと思っていたのは記憶がない士と本来のディケイドを知らない夏海だけです。
つまりディケイドは仮面ライダーじゃないから、ディケイドに(仮面ライダーの)物語はなくて当然ということです。
ではなぜ士は復活できたのか。
これはまず完結編で『死んだはずの人間』が無念等により現実世界に残留してる状態が描写されています。
つまり仮面ライダーディケイドの世界観においては、
人の意志により本来存在し得ない者が顕在化することはあるということです。
そして『仮面ライダー』にとって士はどうでもいい存在ですが、
『リ・イマジネーション ライダー』にとってはとても大切な存在です。
故に今度は士からバイパスを繋ぐのではなく、リ・イマジネーション ライダーから繋がるように変化したのです。
それ故に『仮面ライダーディケイドの世界』は『9人の仮面ライダーの世界と繋がった世界』に変化したのです。
これにより9つの世界が融合してしまうという危険性は未来永劫回避できるようになったわけです。
仮面ライダーディケイドのリ・イマジネーション ライダーが存在しない限り。
同時にその世界において必要不可欠である門矢士もまた仮面ライダーディケイドの世界に存在することになったのです。
![【ディケイド】ディケイドとはなんだったのか 意訳混じり考察](/img/Under/2023/2301_decade12.jpg)
通りすがりの仮面ライダー
そして完結編の最終局面にて、鳴滝は問います。
ディケイド、お前はいったいなんなんだ!? と。
仮面ライダー(主に平成)とは敵と同じ力を使って戦う存在です。
それ故にディケイドにとってすべての仮面ライダーは敵だったのです。
しかしディケイドは敵でありながら、仮面ライダーと争う理由もなくなりました。
正義のために敵を倒す必要もないのです。
『敵』が『仮面ライダー』であり、『正義』のために戦う必要もない存在。
果たしてそれは仮面ライダーなのか?
仮面ライダーの定義から逸脱してないか?
ではディケイドとはいったいなんなのか?
士「世界を旅して物語を繋ぐ。それがディケイドの物語」
そうか、別に仮面ライダーという枠に囚われなくてもいいじゃないか。
ディケイドは仮面ライダーの名を関しながら仮面ライダーの範疇にないもの。
言うなれば仮面ライダーという定義の破壊者。
言うなれば『仮面ライダーディケイド』という新しい定義。
ディケイドは仮面ライダーではなく、
『通りすがりの仮面ライダー』という新しい存在なのだと。