こだわってるここがいい

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【ビッグオー】THE ビッグオー 解説:シュバルツバルト

【ビッグオー】THE ビッグオー 解説:シュバルツバルト

今回はシュバルツバルトについて考察と解説をしていきますが、
これはあくまで私の解釈として受け取ってください。

シュバルツについてはインタビューでもあまり触れられておらず、確定情報が殆どありません。
またメタ的な部分で言えば、ファーストとセカンドは重視されているものが異なるため、
脚本上はファーストとセカンドのシュバルツの行動も繋がっていません。

ただ、一応考察として両シーズンを繋げて考えていきます。


【ビッグオー】THE ビッグオー 解説:シュバルツバルト

世界観の前提



シュバルツを語る前に明確にして置かなければならないのはビッグオーの世界設定です。

これは前の記事で色々書いていますが、
ビッグオーの世界は誰かに作られた世界であり、我々人間が重ねている時間とは異なるものです。

ファーストシーズンの段階で決めていたことは
あくまで「40年前に何かが起きて記憶を失った」という
「何かが突然起きても不思議じゃない舞台」だったことだけのようです。
※正確には決めていたとしても一切語ろうとしなかった内容

だからまぁ、実際のところ「誰かに作られた世界」であることを決めていたかはわからないということです。
この辺り、オフィシャルガイドを見てもセカンドシーズンを作る上で明確にされたようにも書かれています。
だって「誰かに作られた」って、そりゃ作ってるのは「現実の人間」ですし。

とはいえ、考察する上ではファーストの時点で「誰かに作られた世界」として扱います。


【ビッグオー】THE ビッグオー 解説:シュバルツバルト

シュバルツはいつ死んだのか



オフィシャルガイドのACT:17のページにて、
シュバルツはビッグデュオ戦以前に死んでいたと書かれています。

で、インタビューではシリーズ構成の小中氏が(監督の中でのシュバルツの役割は)
彼(ロジャー)を導くような存在としてクライマックスまで引っぱりたいというものだったんです。
でも、私は彼を途中で殺しちゃったんですね(笑)


と答えています。
この「途中」がACT4で燃えたときか、ビッグデュオ戦かは不明。
少なくともACT4の初登場時は「生きている人間」として描かれていたことが伺えます。

しかし作品の構成上、実はいつ死んだかなんてのはどうでもいいことです。

「脚本の都合で人のコピーっぽいものが作れてしまう」世界で
シュバルツ・バルトという設定(メモリー)を持った存在が
シュバルツ・バルトの記憶(メモリー)に沿って動き、
それを他人の記憶(メモリー)で観察した場合、
そこに居るのが別の人間だとしてもそれは確かにシュバルツ・バルトだからです。

大雑把に言えば、ウルトラマンのスーツアクターが別人になっていても、
視聴者から見たら全部同じウルトラマンでしょう? そういうこと。

では、以上の内容を持って考察していきます。


【ビッグオー】THE ビッグオー 解説:シュバルツバルト

シュバルツが求めた真実



これは真実という言葉の曖昧さが悪いのですが、
世界の「真実」とは先に書いたものですが、シュバルツが最初に追っていた「真実」とはまた別のものです。

何故ならシュバルツが最初に求めていた真実とは「40年前の何か」だからです。
これはACT4でアーキタイプを前にロジャーへ語った内容からわかります。

「40年前に何かが起こって我々は記憶を失った」ってはっきり言ってますからね。
この時点ではまだこの世界が舞台だとはわかっていないのです。

して、人が地下を恐れる理由を追い求め、そこでよくわからない地下世界を発見。
そしてそこにはメガデウスが埋まっていたのです。

そこで彼は理解しました。メガデウスって特別なものじゃないんだね、と。
つまり40年前の何かが起こる前にメガデウスは大量に存在し、
パラダイムシティの地下にはそれがたくさん保管されていた。

即ち40年前のメモリーさえ取り戻せば人間はメガデウスを自由に操れる、と。

と思っていたらドロシーに反応してアーキタイプが勝手に動き、シュバルツは燃えましたとさ。


【ビッグオー】THE ビッグオー 解説:シュバルツバルト

ビッグデュオ



その後のことがACT17で触れられていますが、シュバルツは格納庫で駐機体勢のビッグデュオを発見、または観察しています。
なおあのシーンがJFK国際空港でのビッグオー戦闘前か後かは不明。
公式設定では、ビッグデュオはシュバルツに「掘り出された」とされているため。

して、このビッグデュオがなぜこの世界に存在したかですが、
恐らくはエンジェルがかつて作っていた物語の設定を引き継いでビッグオーの舞台を作ったとき、
複数機あったビッグオーを「ロジャーの乗るビッグオー」という特別な一機だけに絞った場合、
兄弟機であるビッグデュオの存在そのものをなかったことには出来なかったためです。

ザ・ビッグは三種類で複数機存在する。
でも今回の物語は「ロジャーの駆るビッグオーが他のメガデウスと戦い事件を解決する」という、
特別な一つの機体の物語にしたい。

でもザ・ビックは三種類存在する。この設定は根幹部分だから変更できない…。
では仕方ないからビッグオー以外はどっかに隠しておこう。
舞台演者は世界構造に疑問なんて抱かないから見つかることはないだろう。

なんて思っていたらシュバルツが色々探し始めてビッグデュオ見つかっちゃいましたってお話。


【ビッグオー】THE ビッグオー 解説:シュバルツバルト

リヴァイアサン登場時



話は飛んでACT17。
シュバルツのビラがシティ中に巻かれ、リヴァイアサンの登場を予言するというもの。

なんですが、インタビューを見るとあれは逆らしいです。

まずシュバルツのビラの内容は実在した哲学者の著書の一節をそのまま引用してるようです。
それが「トマス・ホッブズ」の「リヴァイアサン」

で、小中氏のインタビューには
シュバルツは自分の言葉のつもりで喋っているわけですが、
実はそれは人の記憶の話なんだということを言いたかったわけです。


以降の部分にも説明があるのですが、
つまりあれはシュバルツという創作のキャラクターが
なんで現実世界の哲学者の著書の一節を引用して話してるんだってことに疑問を持てってことらしいです。

著作「リヴァイアサン」とは権力とかに関する政治哲学です。
つまり権力(パラダイム社)と民衆のお話です。

これらを意訳すると、パラダイム社はドームを隔てた圧政をしているのに、
民衆はそれに疑問を持たない(というより設定上持てない)。

その歪さを説明しようと思ったらホッブズのリヴァイアサンが思い浮かんだ。
じゃぁシュバルツにリヴァイアサンの一節を喋らせ、敵として出てくるのは「リヴァイアサン」だろう。

ってことらしいです。多分。
それを作品の世界観と照らし合わせ、
・40年より前を知ろうとしない人々
・自分達が恐れているものを見ようとしない人々
・パラダイム社が絶対なんて誰が決めた
・それら舞台演者に常識として設定されているものを知ろうとすること
 =キャラクターからの逸脱
といったものをまとめた台詞がシュバルツのビラの内容です。

メタ視点で見れば、この時点で既にシュバルツは「創作世界の範疇にない」ということです。


【ビッグオー】THE ビッグオー 解説:シュバルツバルト

パラダイムシティの上空



最終的にビッグデュオは改造されてアラン・ゲイブリエルに操縦されるわけですが、
ビッグデュオは突如自立駆動し上空へ飛び立ちます。

これは恐らくザ・ビッグがこの世界の真実に辿り着くための機体であるため、
無理やり動かしていたアランが「YE GUILTY」になったことで
一度はドミュナスとなったシュバルツへと操縦権が移ったからだと思われます。

シュバルツはこの時点で死んでますけどね。
というより、既に創作世界の範疇の外にいるからこそ成せる業なのかと。

またACT25冒頭でもよくわからん発言を噛ましていますが、
これも実在するウィリアム・ブレイクという詩人で画家の著作の引用とのこと。


【ビッグオー】THE ビッグオー 解説:シュバルツバルト

結局のところ



ではそれらをして、シュバルツ・バルトは真実に到達できたのか。
私の結論ですが、創作世界のキャラクターでいた内は到達してなかったものと思います。

私はファーストシーズン中はまだ創作世界のキャラクターだったと思っています。

なのでACT12~17の間の時間軸で死に、一度ドミュナスになったことで世界の理を超える存在となり、
最終的にはビッグデュオの導きで天井照明に辿り着いたのかと。

ただ理解できたのはパラダイムシティが虚飾の舞台であることと、
ひょっとしたら「40年前の何か」なんてものは存在しないのではないか、というところまででしょう。


それでも、特別扱いしたロジャーやそれ用に設置したビッグイヤー以外の、
ただの一キャラクターに過ぎなかった者がそこまで到達したのは
エンジェルにとって驚くべきことだったのでしょうね。